認知症というと「1度認知症になってしまうと治らない」「良い薬がないので徐々に進行していくのを見守るしかない」というイメージがあるかもしれません。
確かに認知症で頻度の一番多いアルツハイマー型認知症では、ある程度症状の進行を遅らせることはできても認知機能を劇的に改善させることは困難です。
そんな中で治療によって治る可能性がある認知症も存在します。
代表的な病気としては
といった病気があります。
今回はそんな治療可能な認知症の原因となる病気の一つである慢性硬膜下血腫について簡単に解説します。
特に中高年の方でお酒を飲まれる方には是非知っておいていただきたい病気です。
慢性硬膜下血腫とは
慢性硬膜下血腫とは頭蓋骨と脳の間に血腫(血のかたまり)ができる病気です。
中高年男性に多く特にお酒を多く飲まれる方に多いです。
また血液をサラサラにするお薬を飲んでいたり、血液の病気や透析中などの持病がある方も注意が必要です。
慢性硬膜血腫の原因
多くは軽い頭部打撲が原因とされていますが、外傷歴がはっきりとしない場合もあります。
また「酔った状態で転んだ」「ドアに軽く頭をぶつけた」など本人が覚えていないケースも多く、頭部CTなどの検査をしてみて初めて分かることもあります。
慢性硬膜下血腫の症状
典型的には頭をぶつけた後に数週間から数カ月たった後、下記のような症状がでてきます。
- 急に認知症が進んだ
- 頭痛がある
- なんとなく元気がない
- 言葉が出にくい
- 尿失禁をするようになった
- 歩行がおかしいとい
- 麻痺がある
慢性硬膜下血腫の治療
治療としては血腫が少量であれば飲み薬による治療を行うこともありますが、多くは手術治療(穿頭血腫ドレナージ術)が行われます。
治療がうまくいけば多くの場合は認知機能も含めて症状は改善する見込みがあります。
慢性硬膜下血腫の予防
慢性硬膜下血腫の一番の予防法は、頭をぶつけないように注意することです。
特にご高齢の方がいるご家庭では自宅の家具やコードの位置を変えたりするなど、転びにくい環境を整えることが大切です。
まとめ
この病気の特徴は頭をぶつけた後に症状がなくても、数週間後から数ヶ月後に症状が現れることがあることです。
気になる症状がある方は医療機関へ相談するとよいと思います。