内科医ゆらの育児ブログ

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子供のアトピー ステロイドはやめた方がいい?

アトピー性皮膚炎やいわゆる湿疹の治療薬として重要な薬の一つにステロイド外用薬があります。

しかし「ステロイドは副作用が危険」「ステロイドを使用しないでアトピーが治った」といった情報をみるとステロイドを使用したくないと考える方もいるかもしれません。

多くのステロイドに対する誤解は、内服薬や点滴で使用される全身性のステロイドと塗り薬のステロイドの副作用を混同しているためと思います。

ステロイド外用薬は正しく使用すれば全身性ステロイドの副作用はほとんど心配ありません。

ステロイドについて正しい知識を持って、適切にステロイドを使えるようになることが大事です。

この記事では知っておきたいステロイド軟膏の種類や副作用、またステロイド軟膏以外のアトピー性皮膚炎で使用される軟膏について紹介します。

ステロイド外用薬とは?

ステロイド外用薬は昔から使われているアトピー性皮膚炎の基本となる治療薬であり、最初の治療薬として処方されることが最も多いです。

ステロイドには体の炎症を抑える作用があり、外用薬として用いることでアトピー性皮膚炎の炎症を鎮めることができます。

ステロイド外用薬の種類

ステロイド外用薬は強さで5段階に分かれており、ストロンゲスト(I 群),ベリーストロング(II 群),ストロング(III群),ミディアム(IV 群),ウィーク(V 群)となります。

アトピーの状態によって下記薬剤の強さを使い分けていきます。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021より

副作用は?

ステロイドの全身性副作用は高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、クッシング症候群など非常に多くのものがあります。

しかし外用薬を適切に使用すれば通常は上記の全身性の副作用は起こらないと言われています。

自己判断で治療の判断をせずに皮膚科で定期的に診察を受けて、適切な強さや量のステロイドを塗布するようにすることが大事です。

ステロイドの局所の副作用はニキビができやすくなる、皮膚感染症を起こしやすくなる、毛が太くなる、皮膚が赤くなるといったものがあります。

こういった局所の副作用も症状が落ち着いたらステロイドを漸減したり、以下に紹介するタクロリムス軟膏やデルゴシチニブ軟膏などに変更することで副作用を軽減することができます。

 

どのくらい塗ればいい?

ステロイドの塗る量を考える際にはFTUという考え方があります。

1FTU=0.5g=外用薬チューブを人差し指の第1関節まで押し出した量

この量を両手のひらに相当する面積を塗るのが適量となります。

例えば6ヶ月のお子様に顔を首に塗る際には、1FTU分を伸ばして使うようなイメージです。

 

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021より

ステロイド以外の外用薬

下記の薬剤の使用イメージとしてはステロイドで強い炎症を抑えた後に、良い皮膚の状態を保つために使用するものです。

そのため作用は強いステロイドと比べると弱いですが、ステロイドのような副作用はほとんどありません。

カルシニュリン阻害薬(プロトピック軟膏)

ステロイドとは異なる作用で炎症を抑える薬です。

ステロイドで問題となるような副作用がほとんどなく、2歳から使用できる薬剤です。

また正常な皮膚からは吸収されにくく、炎症を起こしている部分に効果を発揮する薬です。

副作用として一時的に皮膚の火照りや痒みが出ることがあることや、強さがそこまで強くないことが難点です。(ステロイド外用のストロング程度)

また免疫を抑える作用があるため、皮膚の感染症のリスクが上がります。

デルゴシチニブ(コレクチム軟膏)

ステロイドやプロトピック軟膏とはまた違う作用で炎症を抑える薬です。

プロトピックでみられる皮膚の火照りの副作用がないのが特徴です。

プロトピックと同様に感染症のリスクがあることや、塗りすぎると全身の副作用が起こることがある点に注意が必要です。

ジファミラスト(モイゼルト軟膏)

2022年から使用可能になった新しい薬剤です。上記3つの薬剤とはさらに違った作用で炎症を抑える薬です。

効果はステロングのステロイド程度と言われています。

まとめ

子供のアトピーにおいては今でもステロイド軟膏が一番の選択肢となることが多く、安全に使用できる薬です。

正しい使い方をしてアトピーの皮膚症状をコントロールしましょう。

 

 

 

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