お子様に貧血というとあまり馴染みがないかもしれませんが、生まれたての赤ちゃんから思春期まで貧血のお子様はいらっしゃいます。
貧血の原因には多くの病気がありますが、いわゆる鉄分の不足による鉄欠乏性貧血が最も多いです。
鉄欠乏性貧血は鉄分の摂取が不十分だったり、成長により鉄分の必要量が増加したり、出血や鉄の吸収不全などが原因で鉄分が体の外に出ていってしまうといった原因があります。
鉄欠乏性貧血は思春期の男子の2-3%、女子の10-20%にみられるといわれており、決して珍しい病気ではありません。
この記事ではお子様の鉄欠乏性貧血の症状、気を付けることを簡単にまとめます。
子供の貧血の特徴は?うちの子供は大丈夫?
貧血の症状はかなり多彩であり以下のような症状があります。
- 顔色が悪い
- 顔が白い
- 立ちくらみ
- めまい
- 食欲低下
- 動悸・息切れ
- 手足がむくむ
またゆっくり貧血が進行した場合には貧血が高度でもほとんど症状が出ないお子様も多いため、発見が遅れることがよくあります。
お子様の体質でもともと肌の色が白かったり、あまり日光に当たっていないお子様も貧血のように顔が白く見えることがあります。
なかなか顔色だけで貧血があるかを見分けるのは難しく、疑わしい症状があれば血液検査を行う必要があります。
子供の鉄欠乏性貧血の原因は?
鉄欠乏性貧血の時期として一番多いのが1歳前後の乳幼児期と思春期の急速に体が大きくなる時期です。
体が大きくなる時に鉄分を多く消費するため貧血となります。
その他にもよくある鉄欠乏性貧血の原因として下記のものがあります。
牛乳貧血
牛乳は体に良いというイメージは間違っていませんが、摂取しすぎると貧血の原因となることがあります。
牛乳には鉄分の含有がなく、牛乳に含まれているカルシウムが鉄の吸収障害や鉄漏出の原因となります。
スポーツ貧血
陸上部などの激しい運動を行っているお子様にみられます。激しい運動で鉄分を多く消費することや、長距離走やバレーボールなどで足の裏に衝撃が加わると赤血球が破壊されてしまい貧血となってしまいます。
月経異常
具体的には下記の場合には婦人科への受診が望ましいです。
- 月経の際に1-2時間に1回以上ナプキンの交換が必要
- 血の塊が出てくる
- 月経周期が短い(21日以内)
- 月経期間が長い(8日以上)
- 不整出血がある
子供の貧血にピロリ菌が関与?
ピロリ菌の感染者は高齢者に多いですが、10代でも5%程度感染しているといわれています。
頻度は少ないですが貧血を繰り返す場合には胃カメラなどの検査で調べることもあります。
鉄欠乏性貧血の検査は?
鉄欠乏性貧血の検査は血液検査で行います。
ヘモグロビンという貧血の指標となる数値に加えて、血液中の鉄分を調べる「血清鉄」と細胞内の貯蔵してある鉄分である「フェリチン」といった数値なども測定します。
貧血予防のための食材とは
食品中に含まれる鉄分は動物性食品に多く含まれるヘム鉄、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄に分けられます。
非ヘム鉄はヘム鉄と比べて吸収が5分の1くらいと悪いですが、ビタミンCやタンパク質と一緒に摂取することで吸収を上げることができます。
- ヘム鉄を含む食材の例
赤みの肉(牛肉、豚肉、鶏肉)、魚(イワシ、カツオ、マグロなど)、レバーなど
- 非ヘム鉄を含む食材の例
卵、緑黄色野菜(ほうれん草)、海藻(ひじき、のり)、豆類(大豆)、貝(しじみ、アサリ)など
子供の鉄欠乏性貧血の治療
貧血が軽度の場合には上記の食品やサプリメントなどをお勧めすることもありますが、多くの場合には鉄剤の飲み薬が必要となります。
治療は貧血の数値が改善しても体内の貯蔵している鉄分が十分になるまで続ける必要があり、多くの場合3ヶ月程度はかかります。
まとめ
お子様の鉄欠乏性貧血について簡単にまとめましたがいかがだったでしょうか。
思春期の貧血は学力や運動能力の低下の原因となることもあり、乳児期に貧血の状態が続いていると発達に影響があるともいわれています。
気になる症状があるお子様には早めに受診させるようにしましょう。